記号論理学II

金子 洋之


概説

 金子さんは専修大学の教授で、駒場には人文科学の非常勤講師として来ています。 この講義では、夏学期の命題論理に引き続き、1階の述語論理をまず学びます。 述語論理は命題論理とは違い、単に真理表を作って論じることはできません。例:

1 明けの明星=宵の明星(=太陽系第三惑星)
2 ガリレイは、明けの明星は太陽系第三惑星であると信じていた
1,2より ガリレイは、宵の明星は太陽系第三惑星であると信じていた

というような結論が導かれてしまいます。普通に考えればそうとは 限らないですよね。そこで、1階の述語論理の場合の付置関数や量化子、 変項の扱いを習い、その上で1階の述語論理の自然演繹の方法を習います。 そのあとその完全性と健全性(私たちの自然な考えと、記号論理を用いて 導くのは同じ結果になるということ、たぶん)を示します。そのあと、 ゲーデルの不完全定理のあらましについて説明してくれました。

 講義は金子さんの配る講義プリントに沿って進められます。今回は少し 内容が難しいこともあって、理解しにくいところがしばしばありました。 でもやはり自然演繹のところは楽しかったです。例:

 「いかなる水中の動物も魚である」ということはない
⇔水中に住む動物で魚でないものがある

のような。Fを「xは水中に住む動物である」、Gを「xは魚である」、と いうように述語を記号化すれば、

 ¬[∀x(Fx→Gx)]
⇔∃x(Fx∧¬Gx)

となります。う〜ん、記号論理学っぽい。これを機械的に導ける、と いうのがすごく面白いんです。

受講ポイント

 この講義は木曜1限なので、1年の人はともすると英語一列の予習の時間になって しまいがちです。予習は前日までに終わらせておきましょう。せっかく授業中に 理解できるのにあとあとの試験のときまで勉強をのばすことはありません。出席は とりませんでした。評価は期末試験だけでつけます。

 試験対策としては講義プリントにある問題をこなしておけばある程度は大丈夫です。 優を狙いたい人はほかに教科書などを探してたくさん問題を解いておくとよいかも しれません。ほとんどが標準的な問題で、1題だけ難しめの問題が出ます。 持ち込みはなんでも可でした。

参考:逆評定
2001年度版2002年度版