統計物理学

上田 和夫


概説

 上田さんは東大物性研の教授で、千葉の柏に研究所が移ったので駒場まで 講義に来るのがとても大変みたいでした。今年から講義をやらない、と教務に 言うのを忘れて、しかたなくがんばって来ることにしたとか。来年はもうこの 講義はないかも。

 講義は、ご自身の書いた教科書にほとんど沿って行われます。ただ、謙虚さ からか、それを教科書指定をせず、講義で紹介もしていないので、存在を 知らなかった人もいるのではないでしょうか。流れとしては、第一章で古典的 統計力学の手法とその限界を、第二章で量子力学的手法の導入、第三章で 統計力学の応用を、と言う感じで進められました。勉強していくと、熱力学 とのつながりもみえ、また熱力学よりもエレガントであることに感動しました。

 統計力学を扱うために、さまざまな概念や数学の手法が必要となり、それを 習いながら進みます。ハミルトン形式、ガウス積分、多重積分、 ミクロカノニカル分布、カノニカル分布、スターリングの公式、などなど…。 多くの新しいことを学ぶわけですが、上田さんはその場その場できちんと 教えてくれ、説明もゆっくりめでよかったです。まあ私は教科書を持って いるし、数学もあの戸瀬さんによって全て教わっていたので、ついて いきやすかったのだとは思いますが。

受講ポイント

 上田さんの教科書は絶対買うべきです。これに沿って進められるので。 授業ノートの変わりにもなり、講義の理解に集中できます。試験勉強は、 Webに結構載っている過去問をやりましょう。あと、教科書もみておくと いいです。今年は過去問にあった問題が1題(でもこれも結局教科書に あり、授業でもやった)、教科書のものを少し変えたものが1題でした。 レポートが2回ほど出ましたが、試験にはあまり関係なく、講義の 内容の理解を問うものでした。

買った教科書・参考書役に立ったか
統計物理学入門(上田)☆☆☆☆
熱・統計力学演習(瀬川ほか)

参考:逆評定
2000年度版2001年度版2002年度版
大鬼