大学で、講義ばかり受けている時期を過ぎ、 研究を始めるようになると必ずのように参加することになる「輪講」。 毎回一人や二人が自分の研究内容などを発表していくわけですが、 自分の担当の回ならまだしも、発表をしないときでさえも、 「あー、また輪講があるよー。うざいなー。」などと思ったことはありませんか? そこで、ここでは通常とは違った形式の輪講を提案したいと思います。
注: 論文や本をみんなで読んでいく「輪読」とは区別して、 ここでは「輪講」と言うことにします。
輪講で、自分のやっている研究内容や、その進捗状況を発表することは、 他人に内容を知ってもらい、 質問やアドバイスをもらうことができるというだけでなく、 自分のやっていることの整理をする意味でも非常に有効です。 また、自分も他人の発表を聞き、それについて意見を交わしあうことで、 自分の研究の糧とすることができるかもしれません。 このようなご利益がある輪講はなかなかいいシステムだと思います。
しかし、よいことばかりでもありません。 人前で発表するからにはそれなりに準備が必要ですし、 輪講が長時間に及んだり多数あったりすると、 自分の研究に割ける時間がなくなってしまいかねません。 この弊害は輪講の規模(時間・人数)が大きくなってくると顕著になり、 自分が担当の回はかなり時間をかけて準備をせねばならず、 また次に自分の担当になるまでは、 他の人の話を(自分の興味ない話でも)長時間聞かねばなりません。 こうなると「輪講うぜー」となってしまうのも無理ないことではないでしょうか。
いいシステムだからと輪講をしても、それが参加者に快く思われていないようでは、 せっかくの輪講のご利益も半減してしまうというものです。 では、輪講の特徴を生かすにはどうすればよいのでしょうか?
先ほど少し書きましたが、自分の考えでは、 輪講の規模が大きければ大きいほど、輪講のよい所が失われてしまうように思います。 もっと手軽というか、 輪講への参加の敷居が低いような形式の方がよいのではないでしょうか。 そのようなことを考えて、今自分たちでやっている輪講(卒論輪講)は、 次のようなことを基本にしています。 ちなみに発表内容は、その日までの各自の卒論の進捗状況。
などなど。ともかく輪講をする負担をできるだけ減らして、 早いサイクルで回してフィードバックを多くかけようというコンセプトです。 輪講というよりも、 参加者同士でディスカッションし合うという方が近いかもしれません。 毎週自分の発表をするため、ちょこちょこと頭の整理ができるだけでなく、 来週はどこまでやろうかというところも見えてくるから面白いものです。 研究のモチベーションも高まりますしね。
今のところ、参加者は4、5人で、 輪講はだいたい1時間から1時間半くらいで終わります。 このくらいの規模だと、あまり参加の負担もないですし、 その週に自分がやったことの整理にはちょうどいいですし、 他の人からのアドバイスももらえますし、いいことづくめ。 毎回この輪講が楽しみになっているくらいです。 1人あたりの時間も短めなので、他の人の発表も興味を保ちながら聞けます。
負担が大きい輪講にはうんざりだ、というそこのお方! 形式にとらわれ、本来の良さを失ってしまった今の輪講から脱却して、 ぜひこの「アドリブ輪講」に転換してみませんか?